この記事では、コードの書き方や種類について解説します。
前回の記事
今回はコード(和音)の基本について学んでいきましょう。
記事の最後には各コードのまとめの表があります。
ぜひ復習にお役立てください。
コードとは、3音以上の音の組み合わせ
コードは、3音以上の音の組み合わせです。
たとえ2音であっても、ある1音が省略された場合はコードとみなすことがあります。
しかし、話がややこしくなるので、ここでは「3和音以上がコードである」として説明します。
最もカンタンなコードはC△(ドミソ)です。
下の図を見てください。
コード(和音)はルート音(最初の音)から順に音を積み上げていきます。
C△ではCがルートになります。
ルートは一番低い音です。
鍵盤で考える場合は、一番左にある音になります。
ルート(root)は、”根っこ”という意味を持ちます。
木は根によって支えられていますよね?
それと同じで、ルートはコードの土台となる音と考えればOKです。
そして、コードはルートから順に、3度ずつ音が積み重なるのが基本です。
C△の場合は、Cの長3度上にE、さらにEの短3度上にGが積み重なります。
CとEは半音4個分だから長3度、EとGは半音3個分離れているから短3度です。
また、△はトライアド(三和音)という意味です。
しかし、ここで注意点が一つあります。
もし、コード表記で、”C”とだけ書いてあったら、暗黙の了解で”ドミソ”という意味を表します。
しかし、音名のレッスンで学んだように、Cは単音の”ド”そのものも意味しますよね?
そうするとコードの意味のCなのか、単音の意味のCなのかよくわからなくなってしまいます。
そこで、Cに△をつけてC△(ドミソ)という意味を表しています。
ややこしいですね。
トライアドの表記に関しては、ミュージシャンにより解釈が曖昧なところがあります。
個人的には△をつけたほうがわかりやすいので、以後△をつけて説明します。
コードネームの書き方
それでは、コードネームの書き方を学びましょう。
…実は、コードネームの書き方は統一されていません。
時代やジャンルなどの違いにより、表記の仕方も異なることが多いです。
しかし、安心してください。
最初から色んな表記を覚える必要はなく、代表的なものを覚えておけば大丈夫です。
また、コードの勉強を続けているうちに、なんとなくわかるようになるものです。
コードの書き方の手順
ここではCm7(♭5)のコード表記を例に解説します。
ちなみに楽譜表記すると、次の通りです。
3度は長3度と短3度の2種類があります。
例)長3度は”M・△”、短3度は”m・-”
7度は長7度と短7度の2種類があります。
例)長7度は”M7・△7””、短7度は”7”
5度は完全5度、増5度、減5度の3種類があります。
例)完全5度は省略、増5度は”#5・aug・+”、減5度は”♭5・-5″
ジャズで重要な音、テンションを書く時は一番右上に(#9)や(♭9,♭13)のように書きます。
テンションの基本については別の記事で解説しているのでお読みください。
ちなみに、Cm7(♭5)はCΦのようにも表すこともできます。
よく見かける表記なので、覚えておきましょう!
コードの種類と機能(イメージなど)
それでは、代表的なコードを見ていきましょう。
簡単なイメージも解説していますが、曲中の利用のされ方次第で印象が大きく異なることもあります。
あくまで目安と考えてください。
※ルートは全てCで統一しています。
Cメジャートライアド
構成音「Root、長3度、完全5度」
最も基本的なコードです。
明るくハッピーな印象と言われることが多いです。
Cマイナートライアド
構成音「Root、短3度、完全5度」
こちらも基本的なコードです。
C△との違いは長3度が短3度に変わっていることです。
Eの音が半音下がってE♭になっていますね?
C△のEがE♭になるだけで、少し暗い印象になります。
Cオーギュメントトライアド
構成音「Root、長3度、増5度」
C△との違いは完全5度が増5度に変わっていることです。
Gの音が半音上がってG#になっていますね?
フワッとした不思議なイメージを与えます。
このコードは後で説明するホールトーンスケールと深い関係があります。
ホールトーンスケールはセロニアスモンクやバドパウエルのような巨匠もかなり使用している重要なスケールです。
Cメジャー7thコード
構成音「Root、長3度、完全5度、長7度」
C△に、Cから見て長7度の音Bが積み重なったコード。
C△より、リッチなサウンドになります。
C7thコード
構成音「Root、長3度、完全5度、短7度」
C△に、Cから見て短7度の音B♭が積み重なったコード。
ブルージーな印象があります。
そのまま使うと、ちょっとアホっぽさを感じなくもないコードです(笑)
テンションを使うと、その幅は一気に広がります。
Cマイナー7thコード
構成音「Root、短3度、完全5度、短7度」
Cmに、Cから見て短7度の音B♭が積み重なったコード。
少し陰りがあるけど暗すぎない印象。
平行移動させてコード進行を作るとオシャレorチャラい感じが出ます。
モードで大活躍。
Cマイナーメジャー7thコード
構成音「Root、短3度、完全5度、長7度」
Cmに、Cから見て長7度の音Bが積み重なったコード。
ホレスシルバーの曲(Nica’s Dreamとか)で結構出てきます。
augコードが含まれている(例ではE♭,G,Bの3音)ためか、緊張感が出ます。
使いこなせるとカッコいいサウンド。
Cマイナー7th(♭5)コード(Cハーフディミニッシュコード)
構成音「Root、短3度、減5度、短7度」
Cmの5度Gが半音下がりG♭に、Cから見て短7度の音B♭が積み重なったコード。
もの寂しい印象で、マイナー(短調)の曲で頻出のコードです。
Cメジャー6thコード
構成音「Root、長3度、完全5度、長6度」
C△に、Cから見て長6度の音Aが積み重なったコード。
Cペンタトニックの音で構成されています。
トニックコードとして割とよく使います。
Cマイナー6thコード
構成音「Root、短3度、完全5度、長6度」
Cmに、Cから見て長6度の音Aが積み重なったコード。
マイナー(短調)キーのトニックで、よく使います。
マイナーキーのⅠmでマイナー7thコードを使うこともありますが、
個人的にはマイナー6thコードの方がしっくり来ます。
トニックマイナーでマイナー7thを弾くと、ドリアンの響きになってしまうからです。
詳しくはもう少し後で学びましょう。
Csus4コード
構成音「Root、完全4度、完全5度」
C△の3度Eが半音上がりFとなったコード。
「sus」というのは英語のsuspended「吊るす」という意味が由来です。
つまり、メジャーコードの3度の音を半音吊し上げ、4度にするという意味です。
浮遊感の漂う印象。
C7th(sus4)コード
構成音「Root、完全4度、完全5度、短7度」
Csus4コードに短7度の音B♭が積み重なったコード。
C7コードにはEとB♭によるトライトーンがありましたが、C7sus4コードにはトライトーンがありません。
それにより浮遊感がアップし、奥行きのあるサウンドになっています。
ビバップ期ではあまり使用されないコードです。
Cディミニッシュコード
構成音「Root、短3度、減5度」
Cmコードの5thに短7度の音B♭が積み重なったコード。
暗く、寂しい雰囲気です。
このコード単体ではそこまで使わないかもしれません。
Cディミニッシュ7thコード
構成音「Root、短3度、減5度、減7度」
CdimにCから見て減7度のB♭♭(A)の音が積み重なったコード。
♭♭は”ダブルフラット”と言います。
長6度Aと同じ音ですが、厳密には減7度として考える必要があります。
…とは言え、やはり読みにくい(笑)
ということで、わかりやすさのためAとして解釈しています(異名同音)。
不気味で絶望感漂うサウンドです。
その理由は不安定なトライトーン2つ存在するからと言われています。
Cdim7の場合、「C・G♭」「E♭・A」がそれぞれトライトーンです(トライトーン、覚えてますか?)。
曲の終わりはメジャーコード(Ⅰ)が多いですが、その前にディミニッシュコード7thを弾くと、ジャズっぽさがupします。
まとめ
今回は基本的なコードの種類と書き方について学びました。
コードのまとめは次の表のとおりです。
コード名 | 譜面 | 構成音 |
---|---|---|
Cメジャーコード | Root、長3度、完全5度 | |
Cマイナーコード | Root、短3度、完全5度 | |
Cオーギュメントコード | Root、長3度、増5度 | |
Cメジャー7thコード | Root、長3度、完全5度、長7度 | |
C7thコード | Root、長3度、完全5度、短7度 | |
Cマイナー7thコード | Root、短3度、完全5度、短7度 | |
Cマイナーメジャー7thコード | Root、短3度、完全5度、長7度 | |
Cマイナー7th(♭5)コード (Cハーフディミニッシュコード) | Root、短3度、減5度、短7度 | |
Cメジャー6thコード | Root、長3度、完全5度、長6度 | |
Cマイナー6thコード | Root、短3度、完全5度、長6度 | |
Csus4コード | Root、完全4度、完全5度 | |
C7th(sus4)コード | Root、完全4度、完全5度、短7度 | |
Cディミニッシュコード | Root、短3度、減5度 | |
Cディミニッシュ7thコード | Root、短3度、減5度、減7度 |
量が多くて大変かもしれませんが、一度に覚える必要はありません。
まずはそれぞれのコードを自分で弾いて確かめてみましょう!
今回はCをルートにしたコードを紹介しましたが、C以外の残りの11音をルートにした場合も考え方は全く同じです。
次回は、コードの転回形とコード進行について学びます。
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