今回は、ホールトーンスケール(全音音階スケール)について学びます。
前回のレッスンはこちら。









この記事の信頼性
ホールトーンスケールとは
ホールトーンスケールは音程が全音のみで構成されているスケールです。
どことなく不思議で、フワフワと漂ってるイメージを与えるスケールです。
名前の由来は、ホールトーン(Whole Tone)=全音という意味からです。
そのままですね。
因みにハーフトーン(Half Tone)=半音です。



ホールトーンスケールは、スケールの構成音からして二種類しかないので、覚えやすい部類のスケールです。
レから始めようが、シ♭から始めようが、Cホールトーンスケールと音の並びは変わりません。
Cホールトーンスケールの半音上のD♭(C#)ホールトーンスケールを覚えれば
12Keyのホールトーンスケールを覚えたも同然です。
それでは、スケールを聞いてみましょう。
どことなく不思議な感じがしますよね。
解決感も弱いような・・・
それもそのはず、このスケールは全音で作られているので導音(リーディングトーン)無いんです。
なので、音と音の引力が弱く、結果として無機質な印象を与えるんです。
ホールトーンスケールを使った例
スケール中には増4度音程があるので、主に7thコードで利用されます。
セロニアスモンクやバドパウエルをはじめ、多くのミュージシャンが使用しています。
クラシックではドビュッシーが有名だと思います(「牧神の午後への前奏曲」など多数)。
もっと馴染みがありそうなものとして、国民的アニメの「名探偵コナン」のBGMにもホールトーンスケールを利用したサウンドがあったので、紹介します。
動画はISO PIANOさんのYouTubeチャンネルからです。
Iso Pianoチャンネルより 【名探偵コナン 事件現場のBGM】事件現場(Incident scene) -Piano Cover
C7(#5),D7(#5),E7(#5)と続いていますが、ホールトーンスケールの連続ですね。
ホールトーンスケールの3和音はaugコードなので、分散和音としてもよく用いられます。
実際にこのBGMでも多用されています。
かなり不穏な空気が漂っていて、不気味な演出に一役買っていますね。
さて、ジャズにおける例も見てみましょう。
バドパウエルのアドリブの例は有名で、循環の曲(I GOT RHYTHMのコード進行の曲)ではしょっちゅう使用しています(これとほぼ同じか類似するもの)。
YouTube:バド・パウエル・トピックより



譜面にすると、難しくて嫌になりますが、実際はただ同じ音型を全音ずつずらしているだけです。
これは循環の曲(この例ではキーはB♭)AABAの「B」”D7-G7-C7-F7”における、D7-G7の箇所で弾いています。





D7の裏コードはA♭7です。
そのため、A♭7から始めていると考えられます。
ちなみに譜面3小節目の本来G7の箇所は裏コードのD♭7から始まっています。
他にも単音フレーズでよく使うものがあるので、バドパウエルの演奏を参考にしてみてほしいです。
使いすぎには要注意です
誤解を恐れずに言うと、ホールトーンスケールは何を弾いてもそれっぽくなります。
でたらめに弾いても、何か凄いことをしている感じを醸し出せるかもしれません。
なので、初心者がこのスケールを学ぶと、とにかくホールトーンで弾きまくるみたいなのをたまに見かけますが、やめておいた方が無難です。
普段ジャズを聴く人は騙せませんし、何より自分で弾いていても飽きてきます。



その効用と手軽さにより、重宝されるスケールである一方、過度な使用は単調さが際立ち、ダサくなってしまいます。
もちろん使い方次第でなので、「ホールトーンスケールだけで最高の演奏をしてみせます!」という人はトライしてみてください
(それはそれである意味凄いことです)
練習のまとめ
- ホールトーンスケールは全音のみでできていて、2種類だけ
- セロニアスモンクやバドパウエルの世代が好んで使う
- あまり多用するとちょとかっこ悪くなりがち