この記事は、ジャズピアノを学ぶ初心者向けに書かれています。
前回はドミナントモーション・サブドミナントモーションについて学びました。
前回の記事
>>レッスン4 『コードの基本②転回形とコード進行』
今回はダイアトニックコードについて説明します。
この記事の信頼性
コードの基本・主要和音について
トニック(Ⅰ)、サブドミナント(Ⅳ)、ドミナント(Ⅴ)で簡単なコード進行が作れます。
これらを主要和音と呼びます。
主要和音の種類
- Ⅰ・・・Ⅰ△、Ⅰ6、Ⅰ△7など
- Ⅳ・・・Ⅳ△、Ⅳ6、Ⅳ△7など
- Ⅴ・・・Ⅴ△、Ⅴ7など
*ブルースの場合、それぞれⅠ7、Ⅳ7、Ⅴ7のようにセブンスコードとなることが多いです。
複雑のコード進行ってありますよね?
しかし、そんなコード進行の各コードも元を辿ると、ほとんど主要和音から派生したコードであることも多いです。
この後解説するダイアトニックコードと代理コードを知れば、わかるようになりますよ!
ダイアトニックコードは3度ずつ音を積み重ねたコード群
それではまず、ダイアトニックコードの解説をします。
ダイアトニックコードとは?
ある音を基準として、3度ずつ音を積み重ねてできるコード群をダイアトニックコードと呼びます。
主要和音のみのコード進行も悪くはないのですが、現代人には少し退屈に聞こえてしまうかもしれません。
そこで、コード進行に彩りを与えるために、ダイアトニックコードを使用します。
Cメジャーキーのダイアトニックコードについて見てみましょう。



Cメジャーにおけるダイアトニックコード
わかりやすく、主要和音は赤で表示しています。
なお、ジャズでより重要なのは上段の3和音のダイアトニックコードではなく、下段の4和音のダイアトニックコードです。
これは必ず覚えてください。
主要和音の他に、4つ新しいコードが出てきましたね。
主要和音以外の4つのコード
- Ⅱm7(Dm7)
- Ⅲm7(Em7)
- Ⅵm7(Am7)
- Ⅶm7( Bm7(♭5))
これらのコードは、転回や、音を足したり引いたりして主要和音と同様の機能を持たせることができます。
このようなコードのことを代理コードと呼びます。



代理コードについて
トニック(T)を赤、サブドミナント(SD)を青、ドミナント(D)を緑
で表しています。
C△7(9)やG7(9)の(9)はテンションノートを表しています。
テンションノートとは?
C△7を例とすれば、7thのBの3度上にD、さらにその3度上にF、またさらにその上にAの音があります。
これらの音がテンション・ノート(テンション)です。
ジャズがオシャレな響きがするというのも、このテンションが大いに関係します。
テンションの最初のDは、ルートから見て9度上の音なので9th、次のFは、ルートから11度上の音なので11th、最後のAは、ルートから13度上の音なので13thと呼ばれます。
テンションについてはこちらの記事を参考にしてください。
さて、代理コードの各機能について見てみましょう。
代理コードの機能
- F6を転回したらDm7になる ⇒ Dm7はSD(サブドミナント)として機能する
- C△7に9thを付加、ルートを削除するとEm7となる ⇒ Em7はT(トニック)として機能する
- C6を転回したらAm7になる ⇒ Am7はT(トニック)として機能する
- G7(9)を転回したらBm7(b5)になる ⇒ Bm7(b5)はD(ドミナント)として機能する
まとめると、以下のようになります。



メジャーダイアトニックコードの機能
「同じ機能を持つコードは、互いに変更することが可能」ということを押さえておきましょう(理論上は)。







ブルースのコード進行を知ろう!











ジャズの場合、一番最初に学ぶのは”ブルース”か”枯葉”のことが多いです。
Now's The Time
Autumn Leaves
今回は、ブルースのコード進行について学びましょう。



上の例は、Cブルースのコード進行です。







注意
お、譜面でコードが書かれていない場所は、前の小節のコードを引き継いでいます。
例えば、4小節目は3小節目のC7を引き継いでいます(・/・のように表記することもあります)。
ブルースの場合、基本的には主要和音もセブンスコードになります。
例えば、Ⅰ7をトニックと解釈して問題ないです。
トニック(Ⅰ7)とサブドミナント(Ⅳ7)を行ったり来たりして、
最後の9~12小節でⅡ7-V7-Ⅰ7となって曲が終わります。



この説明には、少し前置きが必要です。
ジャズの最重要コード進行にⅡm7-V7-Ⅰという進行があります。
Ⅱm7はそもそもサブドミナント(Ⅳ6)の代理コードです。
ブルースのⅡ7については、Ⅱm7で演奏することも多いのですが、「ブルースではⅡm7がⅡ7に置きかわっている」と解釈してください。
つまり、9小節目のⅡ7はサブドミナントと解釈できます。










つまり、ブルースのコード進行は、本質的にはトニック、サブドミナント、ドミナントしか出てこないことになります。
練習のまとめ
ダイアトニックコード、代理コード、ブルースのコード進行について学びました。
特に代理コードはよく使用します。
なるべく早く理解しておきたいところです。
1つ覚えておいてほしいことがあります。
それは、「コード進行を複雑化するのはいくらでも可能」ということです。
しかし、それも元をたどると、基本的なコード進行なんです。
あなたがいつか曲の分析や作曲をする時に役立つ考えなので、頭の片隅にでも入れておいてほしいです。