「ジャズを学びたいけど、わかりやすい教本ないかな?」
「音楽理論を勉強してるけど、難しくて頭に入ってこない…」
そんなお悩みを解決してくれるのが、「ジャジーランドのジャズ理論講座」。
わたしも学生時代に使用していましたが(※)、この本のおかげでジャズの基本を学べたといっても過言ではありません。
ジャズの基礎から応用まで楽しく学びながら演奏力を上げられますよ。
- 必要十分な量のジャズ理論を解説している
- わかりやすいイメージ図・鍵盤図を多く使用
- リズムについても解説されている
- 現役のジャズピアニストが執筆
- 旧版「モダンジャズピアノレッスン」より使い勝手が良くなった
- おおまかな内容は旧版どおりなので、買い直しするかどうかは人によりけり
- キャッチーな絵柄・語り口とは裏腹に、内容は思いのほか高度
ジャジーランドのジャズ理論講座について
「ジャジーランドのジャズ理論講座」は、ジャズを演奏する上で必要な音楽理論を体系的に学べる教本。
上下巻の2冊で完結し、初心者はもちろん、中級者~上級者も学びが深い内容になっています。
著者の中島久恵さん本人が、かわいらしいイメージ図を描いて説明しているので、難解なジャズ理論もスッと頭に入ってきます。
楽典など、学術的な教本は、小難しくて挫折する人が後を絶たないんですよね…
特に初心者の頃は、いかにわかりやすい教本に出会えるかどうかで、今後続けられるかどうか変わってくると思います。
また、「ジャジーランドのジャズ理論講座」は、ジャズを学びたい人をターゲットにした本であることは間違いありませんが、ポップスやロック、DTMで作曲・アレンジをしたい人にも学びがあるはずです。
著者は現役のジャズピアニスト「中島久恵」さん
ジャジーランドのジャズ理論講座の著者は、ジャズピアニストの中島久恵さん。
現役のジャズピアニストとして活動しながらも、後進の育成にも力を入れている方です。
最近では、YouTubeにもレッスン動画や演奏を投稿しているので、ぜひチェックしてみてください。
高校在学中にジャズ・ピアニストを志し、卒業後、本田竹広氏、大徳俊幸氏、板橋文夫氏にジャズピアノを師事。今村祐司氏にリズムを師事。
その後、新宿ピットイン、関内エアジンほか、都内近郊のライブハウス等に出演し、自己のトリオやコンボを結成。オリジナルやスタンダードを中心に演奏活動を展開する。2000年にアルバム「ジュニアライン」2010年に「ターミナル」をリリース。また、演奏のかたわら、ジャズ教本なども多数執筆。
中島久恵さんのプロフィール
理論の基礎をしっかり固める「上巻」
まず「ジャジーランドのジャズ理論講座 上巻」では、ジャズに欠かせない音楽理論を丁寧に解説しています。
音楽理論は初学者にとっては本当に難しいですよね…
自分は別の教本を読んで即効挫折した経験があります(笑)
途方に暮れていたときに出会ったのが、「ジャジーランドのジャズ理論講座 上巻」(※旧「モダンジャズピアノレッスン Vol.1」)。
口語調で親しみやすく、サクサク読み進められたのをイマでも覚えています。
1日1レッスン形式で、無理なく学べるスタイルの教本であることも好印象でした(実際には、後述するように1日でマスターは難しいですが💦)。
何かと忙しい主婦(主夫)や会社員でも取り組みやすいと思います。
上巻ではコードやスケールなどの音楽理論はもちろん、初心者が軽視しがちなリズムの基本までしっかり解説されています。
各章の最後にはワーク(演習問題)や復習のポイントが書いてあるのもGood!
単に理論を知るだけでなく、自分の演奏にどう活かせるか考えられる点も学びが深いと感じました。
より実践力を磨く「下巻」
「ジャジーランドのジャズ理論講座 下巻」では、上巻で学んだ理論をさらに深めることができます。
実際に演奏やアレンジにどう活用するかにフォーカスしています。
ビバップフレーズの作り方やモードの手法など、プロが使っているテクニックを学ぶことができます。
この巻で面白いのは、実際の演奏にすぐに応用できるアイデアがたくさん詰まっていること。
例えば、コード進行に新しいひねりを加えたり、リズムにちょっとした変化をつけることで、曲が全く新しい表情を見せるんです。
こうしたテクニックは、セッションやバンドで演奏する時、自分のアレンジを作る時にもきっと役立つはずです。
前作「モダンジャズピアノレッスン」との違い
「ジャジーランドのジャズ理論講座」は、「モダンジャズピアノレッスン」(2000年7月初版発行)待望の復刻版。
前作でも十分わかりやすかったのですが、改定するにあたってパワーアップした点もあります。
参照先の明示・上下巻の連携
旧版では、解説の中に参照先が書かれていなかったので、「あれ、この話ってどこかで見た気がするけど、どこだったけな…?」と悩んでしまうことがありました。
しかし、今回は上下巻で参照先を明示しているので、より使い勝手が良くなっています。
索引の追加
旧版では索引がなかったのですが、復刻版では索引が追加されて、気になる単語から読みたいページに飛べるようになりました。
そのほかにも、説明がやや曖昧だった箇所をハッキリした言い回しに変えたり、表や図の見直しなど、痒いところにも手が届いたブラッシュアップをしています。
旧版を持っている人は新しく購入する必要はないと思いますが、より便利になっているので気になったら買い直してみても良いかもしれません。
良いところ・気になったところ
「ジャジーランドのジャズ理論講座」の良いところと気になるところをまとめてみました。
それぞれ解説します。
良いところ
良いところはつぎのとおり。
- 必要十分な量のジャズ理論を解説している
- わかりやすいイメージ図・鍵盤図を多く使用
- リズムについても解説されている
必要十分な量のジャズ理論を解説している
ジャズを学習する上で、最低限必要な理論は本書だけで学ぶことができます。
あまりにマニアックな音楽理論はないかもしれませんが、それは必要になったときにその都度学べば良いですしね。
そもそも音楽理論をはじめて学ぶ人にとっては、本書の内容だけでもいっぱいいっぱいのはず。
本書を本当にマスターできれば、相当な実力が身に付きますよ。
わかりやすいイメージ図・鍵盤図を多く使用
この本はとにかく難しいジャズ理論をかみ砕いて説明するために、イメージ図や鍵盤図がとても多いです。
ジャズ理論を学ぶハードルがグッと下がっているのは間違いありません。
一方で、楽譜を読むのが苦手な人にとっては助かるはずですが、逆に譜読みに強いクラシック出身の人にとっては、まどろっこしく感じることもあるかもしれません。
しかし、実はこれには理由があります。
楽譜で書いてしまうと、理論的なからくりやインターバルなどの構造を理解せず、音だけ覚えて結局身に付かないことがあるとのことでした。
そのような視点は自分にはなかったので、確かに言われてそうかもしれないと納得しました。
リズムについても解説されている
ジャズはとにかくリズムが命。
しかし、特にピアノの人は音楽理論(コードやスケールなど)ばかりに気を取られ、リズムを軽視しがちな側面があります。
言語化しにくいリズムに関する考え方についても、わかりやすい表現や絵を使ってイメージしやすく書かれています。
気になるところ
- 1日1レッスン形式だが、1日でマスターできるという意味ではないので注意
- 耳コピに関する内容が薄い
1日1レッスン形式だが、1日でマスターできるという意味ではないので注意
本書でも最初に説明されていますが、1日1レッスン形式だとしても1日でマスターするのは難しいです。
サクッとお手軽に学べるほど、内容がカンタンというわけではないので、その点は注意してください。
この記事を読むあなたはきっとやる気に満ちあふれていると思うので、そんな心配はいらないかもしれませんが(笑)
本書を読んで少し理解が追いつかないところがあっても、まずは全体の概要を知るためにもザっと流し読みしてみてください。
ゴールが見えてないと、終わらないマラソンを続けている気分になってしまいますしね。
かと言って、完璧に理解できるまで同じ場所にとどまっていても、前に進んでいる気になれず、やはり挫折してしまいます。
どうせ何回も復習することになりますし、焦らずじっくり学んでいきましょう。
耳コピに関する内容が薄い
本書はジャズ理論(メロディー・ハーモニー・リズムなど)を体系的にわかりやすく学ぶことを目的にしています。
なので、耳コピにはあまり触れられていないのですが、やはりジャズを学ぶ上で耳コピは避けて通れません。
プロアマ問わず、上手な人で耳コピをしていない人はほぼいないと思います(ジャズ研時代もそうでした)。
「教本だけやればジャズが演奏できるようになる」というわけではないので、必ずいろんな音源を聞いてほしいです。
理想は、あなたが好きなジャズレジェンドの音源を耳コピしつつ、本書を学ぶこと。
耳コピしたときに、「何でこのコード進行でこの音を弾いているんだろう」という理論的背景がわかると、記憶に結びつきやすいからです。
耳コピ至上主義も危険な側面はありますが(耳コピしたフレーズ以外演奏できなくなる人もたまにいる)、基本的にはやった方が無難です。
理論は「ジャジーランドのジャズ理論講座」で学んで、どんどん耳コピもしてほしいです。
ジャズを学ぶ最初の教本として最適、役立つこと間違いなし!
「ジャジーランドのジャズ理論講座」は、ジャズをこれから始めたい初心者に自信をもっておすすめできる教本です。
初心者だけではなく経験者も納得できる一冊だと思います。
お世辞抜きに、中島さんの本に出会えてジャズをより楽しめるようになりました。
あなたもぜひ手に取って、ジャズの世界をさらに広げてみてくださいね♪
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