先日、ロバート・グラスパー(Robert Glasper)のツイートがミュージシャンの中で話題となりました。
主に耳コピに関する話題で、内容はこんな感じです。
「譜面をもらえないか?」
「コード進行を教えてくれないか?」
「リズムを教えてくれないか?」
こんなことを俺に聞いてくるな。
俺はチックコリアやハービーハンコックにそんなこと聞けなかったぞ。
自分の耳で聞け!(耳コピしろ)
怠けるな!
桃井裕範さんという方(ミュージシャン)が、字幕をつけたツイートがこちら。
わかりやすいので掲載させていただきます。
グラスパーが全てのミュージシャンにド正論を吐いてるから字幕つけた pic.twitter.com/lfayCnaixp
— 桃井裕範 Hironori Momoi (@hironorimomoi) February 27, 2021
少し強い口調で人によっては抵抗を感じるかもしれませんが・・・言ってることは正論です。
このメッセージは多くのミュージシャンの共感を得ました。
耳コピについては、このブログでも取り上げてきましたが、あらためて耳コピの重要性を解説したいと思います。
ロバートグラスパーってどんな人?
アメリカ人のジャズ・ピアニストかつ音楽プロデューサー。
2012年の第55回グラミー賞で最優秀R&Bアルバム賞を、アルバム『ブラック・レディオ』で獲得。
耳コピ(トランスクライブ)は上達のために必須!
楽器の上達をもちろん、音楽を深く理解するために耳コピは避けて通れません。
特にジャズの場合、”ニュアンス”、”フィール”、”タイム感”など楽譜では表すことのできない内容がたくさんあります。
これらは、耳コピをしないと身に付けることができないと言っても過言ではありません。
リズムについてはこちらの記事でも解説しているので参考にしてください。
ジャズがうまくなりたいなら、自分の耳で音源を注意深く聞き、音を採る必要があります。
さらに、「なぜこの音を使っているのか、なぜこのようなリズムを用いているのか」などについて自分なりに分析する必要があるんです。
耳コピって大変そうだな…
やらなくてもうまくなれないかな?
断言しますが、耳コピしないと上達しません。
ジャズ研にいたのでわかるのですが、上達しない人はたいていは耳コピをしていませんでした。
耳コピをしない理由を聞くと、だいたいこんなことを言われます。
- 個性が無くなる
- CDと同じことをやっても意味がない
一見正しそうですが、これは間違いです。
耳コピをして没個性化することなんてありませんし、仮にそうなったとしても、自分の憧れのジャズミュージシャンに似るんなら願ったりかなったりではないですか?(笑)
コピーをしたいと思うミュージシャン・曲を選ぶ時点で、既に個性は出ているものです。
「個性が無くなる」
そんな言葉を真に受けてはいけません。
耳コピをしないと上達せず、ジャズを嫌いになるリスクもあります。
早いうちから耳コピに慣れておきましょう。
本気でジャズに取り組みたいなら、”1年くらい耳コピだけしまくる”という期間があってもいいくらいです。
それだけの期間、耳コピを継続出来たら必ず上達しますよ(マジで)
耳コピをしたくない人の本当の理由
耳コピ否定派の人が、耳コピをしたくない本当の理由は、”個性が無くなることではない”と思っています。
一応、もっともらしく「没個性化するから」と言うんですけどね
耳コピ否定派の人たちは色んな理由を言いますが、結局は”めんどくさい”だけなんですよね。
いや、実際耳コピはめんどくさいです。
まず耳コピの準備をするのがめんどくさいです(笑)
ペンとか機材を用意するのって、私もダルいなーって思いますもん。
準備をしたは良いものの、実際に耳コピすると、音をうまく採れないなんてしょっちゅうです。
何回も何回も聞き返すこともあります。
そして時間をかけた割には、全然採譜が進まないなんてことは日常茶飯事。
さらに、リズムが曖昧な箇所は譜割りをどうすれば良いか悩みまくる・・・。
そう、耳コピは大変なんです。
ジャズの場合は、ポップスなどとは違って、和音も複雑で、毎回違うことを演奏しているので余計に聞き取ることが難しいです。
それでもジャズをやるからには耳コピは避けて通れず、ひたすら採譜・分析・練習をする必要があります。
耳コピそのものを知らない人も多いかもしれない?
さて、グラスパーのツイートに戻りましょう。
彼の意見はもっともだと思います。
- 「コード進行を教えて」
- 「リズムを教えて」
- 「譜面ちょうだい」
こんなことを聞いてくるのはやめろ!と怒るのも無理はありません。
しかし、そんなことを聞いてしまう人をあえて擁護するならば
「もしかしたら耳コピそのものを知らないのかな?」ということです。
耳コピを知らないというより、自分で耳コピをするということを想像できない人もいるかもしれないと思いました。
かくいう自分も、まだ高校生の時、耳コピを知りませんでした。
何か弾きたい曲があれば、市販の楽譜を探して演奏するというのが自分の中では当然だったんです。
当時、ラルクが好きだったんですが、市販の楽譜はどうもしっくりこない。
そんな時、YouTubeで調べてみると、かっこよく演奏する動画を見つけました。
その時はまだ高校生でしたが、演奏者に「譜面があればいただけないか」とメッセージを送ったことがあります
(今考えると失礼だったんですが・・・)
すると、返信があり「譜面は無いから提供できませんが、コードを学ぶと自分の好きなように弾けるから、コードを学ぶといいですよ。」とやさしくアドバイスしてくれました。
その時、はじめて”コード弾き”なるものを知りました。
だからもしかすると、昔の私みたいにそもそも耳コピを知らない人もいるかもしれないので
あんまり強く言うとちょっとかわいそうかなとも思ってしまいます。
今は情報も溢れているので知る機会が以前より多いとは思いますが、まだまだ少ないのかもしれません。
結局、すぐにコードを勉強することは無かったのですが、何となく頭の片隅には”コード”の文字はありました。
そして、大学入学するや否やジャズに出会い、そこでコードと再会することになります。
その時はじめて耳コピをするようになるんですね。
いやー、最初はめちゃくちゃ大変でした。
全然音は採れないし、ベースとかは聞いてもよくわからなかったですし(笑)
しかし、ひたすら耳コピをするうちに、音感も身に付きましたし、精度も上がっていきました。
そうすると、ジャズの演奏も少しずつ上手くなって楽しくなってくるんです。
耳コピは誰でも継続さえすればできるようになるので、「自分には無理」と思わずぜひチャレンジしてほしいです。
上手くなりたいなら、耳コピを習慣化しよう!
プロになった人で、耳コピをしてこなかった人は周りには全くいません(これもマジ)。
それこそ、自分の周りのプロで活躍している人ほど、鬼のような量をこなしていました。
ノートを見せてもらったとき、ものすごい量をこなしていて「これは敵わないワケだ」と腑に落ちたのを覚えています。
時間を多く取れない人もいると思います。
そんな人は毎日ワンフレーズだけでも耳コピしてみてはいかがでしょうか?
1年間で365フレーズです(笑)
復習も考えると、そこまでできないかもしれませんが、毎日コツコツ耳コピを続ければ必ず大きな財産になります。
ロバート・グラスパーが耳コピしろって言っているんです。
その言葉を信じて、耳コピしまくってジャズが弾けるように頑張りましょう!
コメント