今回は、ディミニッシュスケール(全音/半音ディミニッシュスケール)について学びます。
前回のレッスン
ディミニッシュスケールは、ディミニッシュコードと関係ありますか?
確かかなり暗い響きだったような・・・
もちろん関係あります!
あと必ずしも暗いだけではないですよ?
ディミニッシュスケールとは
ディミニッシュスケールは音程が全音と半音が交互に出てくるスケールで、不気味さ・暗い印象を与えます。
ディミニッシュスケールは三種類しかないので、覚えやすい部類のスケールです。
ホールトーンスケールも二種類だったし、覚えることが少なくていいですね!
ディミニッシュコード | スケールの型 |
---|---|
Cdim7, E♭dim7, G♭dim7, Adim7 | Cディミニッシュスケール型 |
D♭dim7, Edim7, Gdim7, B♭dim7 | D♭ディミニッシュスケール型 |
Ddim7, Fdim7, A♭dim7, Bdim7 | Dディミニッシュスケール型 |
例えば、E♭dim7ではCディミニッシュスケールと音の並びが同一なので、CディミニッシュスケールをE♭から始めればE♭ディミニッシュスケールとなります。
それではスケールを聞いてみましょう。
Cディミニッシュスケール
C#ディミニッシュスケール
Dディミニッシュスケール
の順に流れます。
スケールを聞いただけでは、そこまで暗さも感じにくいかもしれませんね。
ディミニッシュスケールから導かれるディミニッシュコードdim7を聞くとわかりやすいかもしれません。
Cdim7を聞いてみましょう。
ディミニッシュスケールのことを全音/半音ディミニッシュスケール
コンビネーションオブディミニッシュスケールのことを半音/全音ディミニッシュスケール
ということもあります。
コンビネーションオブディミニッシュスケール(通称コンディミ)に関しては次回解説します。
ディミニッシュコードのテンション
ディミニッシュコードにおけるテンションは、全音上のdim7コードです。
例えば、Cdim7の場合、全音上のディミニッシュコードはDdim7で、構成音全てがテンションとなります。
ちなみに、Cdim7(基本コード)とDdim7(テンション)を組み合わせると、Cディミニッシュスケールになりますよ。
ディミニッシュスケールを使った例
スケール中には増4度音程があるので、主にdim7で利用されます。
クラシックではショパンの別れの曲が有名だと思います(2:17~2:23あたり)。
スケールというよりディミニッシュコードを連続的に使用していると言った方が正しいかもしれません。
赤い矢印以降の和音の動きはdim7の連続です。
譜面で見るとイヤになりますが、実際はかなりパターン化された音型です。
ディミニッシュコードは一気に緊張感を高める演出にもよく使用されます。
さて、ジャズにおける例も見てみましょう。
ランディーウェストン(Randy Weston)のLITTLE NILESという曲でディミニッシュコードを効果的に使用しています(2:00~2:20)。
こちらもまた、和音を平行移動していることがわかると思います。
ジャズにおいて、これだけ長くでディミニッシュコードを使用するのは稀ですが、それゆえにオリジナリティーの高い曲とも言えます。
別れの曲と同様、緊張感を生み出していますよね。
パッシング・ディミニッシュコードとしての使用
長2度離れたルートを持つコードの間に置き、経過的(passing)コードとして使用します。
これをパッシング・ディミニッシュコードと呼びます。
「Ⅰ△7→Ⅰ#dim7→Ⅱm7→Ⅱ#dim7→Ⅲm7」のようなコード進行があった場合
赤字部分がパッシング・ディミニッシュコードです。
これによりルートが半音進行となるため、流れがスムーズとなります。
わかりやすい例としては、SERPENT’S TOOTHという曲のテーマが参考になると思います(動画0:20~0:23)。
Ⅰ△7→Ⅰ#dim7→Ⅱm7とうまくつながる理由
ヒントはディミニッシュコードの構成音にあります。
そういえば、ディミニッシュコードは2つトライトーンがあったような…
それではKey in Cで考えてみましょう。
C#dim7には二つのトライトーンが存在します。
図中のトライトーン1はA7(E♭7)
トライトーン2はC7(G♭7)のトライトーンと共通です。
つまり、C#dim7はA7と機能的には同じであることがわかります。
C#,E,Gはそれぞれのコードに共通の音で
AとB♭についてもC#ディミニッシュスケールに含まれているので互換性が高いと言えます。
さらにA7はDm7への4度進行で解決するセカンダリー・ドミナント7thコードとして機能するので、
Ⅰ-Ⅵ-Ⅱ-ⅤのⅥ7と考えるのが妥当です。
回遊ディミニッシュコードとしての使用
Ⅰ△7の箇所で、Ⅰ△7→Ⅰdim7→Ⅰ△7とするのもよくある例です。
バラードなど拍が長い箇所で使うと一定の演出効果があります。
この場合は、緊張感・スリル感ではなく
アダルトな甘い響きを与え、不気味さは特に感じられません。
これも覚えておいて損はないと思います。
まとめ
ディミニッシュスケールのまとめです。
- ディミニッシュスケールは全音→半音の繰り返しからなるスケールで3種類だけ
- ディミニッシュコードを導く
- 緊張感を生み出す一方、コード進行次第では甘美な響きになる
コメント