今回は、ハーモニックマイナーパーフェクト5thビロウスケールについて学びます。
前回のレッスンはこちらです。
ハーモニックマイナーパーフェクト5thビロウスケールとは
「ハーモニックマイナーパーフェクト5thビロウスケール」は、今まで紹介したスケールの中でも、長い名称ですよね。
英語だとHarmonic Minor Perfect 5th Belowで、HMP5↓なんて表記されることもあります。
しかし、実はこれ、和製英語なので海外では通用しません。
海外の人にはフリジアンドミナントスケールとかフリジアン#3スケールだと通じると思います。
とりあえず、ここではハーモニックマイナーP5ビロウスケールとして説明します(P5はパーフェクト5thの略)。
ハーモニックマイナースケールを覚えていれば怖くない!
ハーモニックマイナーP5ビロウスケールはハーモニックマイナースケール(和声的短音階)の完全5度から並べ直したスケールです。
ハーモニックマイナースケールの第5モード(第5音から始めたスケール)という見方もできます。
ビロウとは下という意味です。
例えばG7の場合、Gから見て完全5度下の音はCとなります。
そのため、CハーモニックマイナースケールをGから始めたスケールとなります。
GハーモニックマイナーP5ビロウスケールは、G7(ソ・シ・レ・ファ)の構成音を持っているので、V7で使用可能です。
因みにGフリジアンスケールの第3音を#したものと同じなので
フリジアン#3スケールとも呼ばれますが、ハーモニックマイナーP5ビロウスケールで覚えておけば大丈夫です!
海外の人にはハーモニックマイナーP5ビロウスケールと言っても通じないので注意が必要です。
ドミナントモーションのV7で使える!
ハーモニックマイナースケールが基になっているので、「マイナーキーでないと使えないのか?」というと、実はそうではありません。
メジャーキーのV7で使っても全く問題ありません。
♭9thや♭13thといったオルタード系テンションが含まれるので、オルタードスケールと同様V7→Ⅰで活躍するスケールです。
オルタードスケールと比べて、クラシックっぽさが目立つスケールです(ハーモニックマイナースケール自体、クラシックで使われているので当前かもしれませんが)。
ジャズでは、バップ期によく使用されたスケールです(もちろん現在でもバリバリ使います)。
クラシックでは、ショパンの”革命”で最初から効果的に使われています(調べてみましょう!)。
♭9が特に効果的!
経験的なことを言うと、♭9を含めて弾くとそれっぽさが出ます(上記の例を参考)。
#9や#11は、オルタードスケールに特徴的な音なので、差別化するならそれらの音を含まない構成を考える必要があります。
そして、ハーモニックマイナーP5ビロウスケールはスケール中にシ・レ・ファ・ラ♭(Bdim7)を含んでいるので、これらの音を組み合わせると解決に進むやすくなります。
Bdim7の場合は「シ・ファ」「レ・ラ♭」でトライトーンを形成しており、トニックに解決したいからです。
ハーモニックマイナースケールと構成音は同じなのに、わざわざ別名をつけている理由は?
G7の時はミクソリディアンスケールと同様、アボイドノート(使用を注意する音)は完全4度です。
つまり、Cの音になります。
Cハーモニックマイナースケールで考えると、どうしてもCを意識してしまうというのが理由だと思います。
ついでながら、CハーモニックマイナースケールのアボイドノートはA♭です。
転調が多いジャズにおいて、「G7の時はCハーモニックマイナースケールを使用して…」というような変換をするのが大変だからと聞いたことがあります。
だったら、それぞれの音から始まる「○○○スケール」というものを別に割り当てようとなったとか、ならないとか。
まとめ
- HMP↓5はハーモニックマイナースケールから導き出せる
- バップ期の曲でよく使われており、クラシックでも随所に用いられている
- オルタードスケールと差別化するなら#9th,♭13には注意
- ♭9を混ぜると効果的
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