今回はジャズのヴォイシングの基本、Aフォーム・Bフォームを学びます。
前回のレッスンはこちらです。
ジャズピアノで必ず学ぶ、Aフォーム、Bフォーム
3ノートヴォイシングは以前勉強したけど・・・ Aフォーム、Bフォームとかいうヴォイシングもあるって聞いたよ!(教えて)
- Aフォーム・・・3rdを下、7thを上に積んだフォーム
- Bフォーム・・・7thを下、3rdを上に積んだフォーム
C△7を例に説明します(譜面はト音記号を想定)。
![](https://jazzy-life.com/wp-content/uploads/2020/08/Aフォーム、Bフォーム.png)
左は3rdが下にあり、その上に5・M7・9が積み重ねっています。
これがAフォームです。
右は7thが下にあり、その上に9・3・5が積み重ねっています。
これがBフォームです。
3rdと7thのどちらが下にくるかで
Aフォーム or Bフォームが決まります。
今回はC△7で説明しましたがCm7だろうが
C7だろうが基本的な考え方は同じです。
3rdと7thのいずれかが下にきて、あとはテンションを加えればいいんですね!
考え方がわかったところで、ジャズでよく出てくるコード進行に則って練習しましょう。
Ⅰ-Ⅵ7-Ⅱm7-V7
Ⅰ-Ⅵ7-Ⅱm7-V7(俗にイチロクニーゴー)は、OleoやI Got Rhythmのような曲で出てくる、循環と呼ばれる王道コード進行です。
「Ⅰ-Ⅵ7-Ⅱm7-V7-Ⅰ-Ⅵ7-Ⅱm7-V7・・・」
と無限に回すことができます。
曲の終わり(エンディング)で、この進行を繰り返すことも定番です。
その時は、ⅠをⅢm7にすることが多いです。
(Ⅲm7はトニックの代理コードです)
![](https://jazzy-life.com/wp-content/uploads/2020/08/AフォームBフォーム1-800x332.png)
[ ]内の数字は度数を表しています。
パターン①ではAフォーム→Bフォームが交互に現れます。
パターン②ではその逆です。
![](https://jazzy-life.com/wp-content/uploads/2024/03/bop-smile-300x300.png)
これにより、手の移動が最小限になっています。
音の跳躍が少ないことで、和声が滑らかにつながります。
![](https://jazzy-life.com/wp-content/uploads/2020/08/パターン1-1-800x92.png)
![](https://jazzy-life.com/wp-content/uploads/2020/08/パターン1-1-800x92.png)
![](https://jazzy-life.com/wp-content/uploads/2020/08/パターン2-1-800x103.png)
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![](https://jazzy-life.com/wp-content/uploads/2024/03/bop-smile-300x300.png)
![](https://jazzy-life.com/wp-content/uploads/2024/03/bop-smile-300x300.png)
![](https://jazzy-life.com/wp-content/uploads/2024/03/bop-smile-300x300.png)
これを12Keyで練習します。
ここでは、例を6つ挙げます。
![](https://jazzy-life.com/wp-content/uploads/2020/08/AフォームBフォーム例-800x211.png)
![](https://jazzy-life.com/wp-content/uploads/2020/08/AフォームBフォーム例-800x211.png)
残りの6つのKey(G♭,B,E,A,D,G)でも同様に作ってみましょう!
リズムパターン
以下の2つをまずはやってみましょう。
2分音符のパターン
![](https://jazzy-life.com/wp-content/uploads/2020/08/リズムパターン2分音符.png)
![](https://jazzy-life.com/wp-content/uploads/2020/08/リズムパターン2分音符.png)
これは和音の構成音をしっかり聞くための練習です。
シンプルに1拍目・3拍目で二分音符を弾きます。
裏打ちパターン
![](https://jazzy-life.com/wp-content/uploads/2020/08/リズムパターン裏.png)
![](https://jazzy-life.com/wp-content/uploads/2020/08/リズムパターン裏.png)
二拍目の裏、四拍目の裏に弾きます。
半拍先取りしてコードを弾きます。
これをシンコペーションと言って、推進力を生みだす効果に一役買っています。
シンコペーションを説明するには、強拍・弱拍の説明が必要ですが
「半拍早く弾いてスピード感出しているんだー」
くらいに思ってくれれば大丈夫です。
因みにこの裏打ちパターンはRed Garland(レッド・ガーランド)のスタイルで有名です。
一説によると、Ahmad Jamal(アーマッド・ジャマル)のプレイを真似したとも言われています。
Miles Davisがレッド・ガーランドにアーマッド・ジャマルのような弾き方を要求したとかしないとか…。
練習期間と練習のコツ
練習期間の目安は1カ月~2カ月くらいですが、ピアノ経歴や練習できる時間で差は出てきます。
![](https://jazzy-life.com/wp-content/uploads/2024/03/bop-cry-300x300.png)
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最初は覚えるのがとにかく大変…
自分も苦労した記憶があります。
しかし、練習を継続すれば必ずできるようになります。
少し話は反れますが、因数分解を学んだ時のことを思い出してみてください。
因数分解は中学3年で学びますが、あれを習ってすぐに問題を解けましたか?
![](https://jazzy-life.com/wp-content/uploads/2024/03/bop-bitter-smile-300x300.png)
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自分はできませんでした(泣)
けど、ドリルで練習問題をたくさん解くうちに、瞬間的に答えを導き出せるようになったんですよね。
これと同じです。
とにかく継続と反復練習に尽きます。
最初は大変ですが、楽しくジャズを続けられるように頑張りましょう!
練習する上での注意点
ヴォイシングを練習する上での注意点はつぎのとおり。
カタカナなどで音名を記入しない
これは自分も最初の頃やっていました。
C△7のときはミ・ソ・シ・レとか・・・
書き込みたくなるのはよくわかります。
しかし、それでは紙に覚えてもらっている状態なので
いざ演奏となったときに瞬間的に弾けません。
C△7と見たら一瞬でAフォームもBフォームも
どちらも押えられるようにしなければなりません。
これは、スポーツに似たところがあり
「こう来たら、こう対処する!」
というような反射神経が必要です。
わざわざ譜面化しない
これは先ほどの内容と被りますが
わざわざ譜面化する練習もおすすめしません。
実際はコードネームを見てヴォイシングをするのであって
音符を見て弾くわけではないからです。
書くとしても一例だけにしましょう。
それを基準に自分の頭で考えて移調しましょう。
これはフレーズの練習でも同じです。
よく、フレーズ集で12Key全てを書いているものを見かけますが
はっきり言ってあまり意味がないと思います。
大体の場合、ただのページ数稼ぎでしょう。
例えば、クラシックで使用する教本のハノン、コルトーも一例しか書いてませんよ?
しかし、12Key(全調)でやることを推奨しています。
つまり、自分の頭で考えて移調しましょうねということです。
![](https://jazzy-life.com/wp-content/uploads/2024/03/bop-bitter-smile-300x300.png)
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「当時は全調書くのが大変だったからじゃない?」という声も聞こえてきそうですが…。
そうだとしても、わざわざ全調全く同じ音型のものを作るのはナンセンスです。
![](https://jazzy-life.com/wp-content/plugins/pochipp/assets/img/pochipp-logo-t1.png)
![](https://jazzy-life.com/wp-content/plugins/pochipp/assets/img/pochipp-logo-t1.png)
電子ピアノ使用者は、ある程度大きい音で弾く
ヴォイシングの練習に限りませんが
音量は大きめで練習したほうが良いです。
たまに小さい音で練習する人がいますが
あまりおすすめできません。
何となく弾けてる気がしてしまうのと
実際どういう音が鳴っているか把握することが困難だからです。
それぞれの音がはっきり聞こえる程度には音量は出しましょう。
近隣の関係もあると思いますが
ヘッドフォンをするなりして練習しましょう。
メトロノームを使用する
メトロノームは使いましょう。
最初はテンポ♩=80くらい、4Beatで練習すれば大丈夫です。
慣れてきたら、メトロノームのクリック音を二拍目、四拍目に
合わせて練習してみましょう。
iReal Proでの練習がおすすめ!
さまざまな楽曲のコード進行が載っている「iReal Pro」であればコード進行を自分で作成して
ベース・ドラムを鳴らすことが可能です。
ピアノも鳴らせますが、自分が弾くから不要ですね(笑)
これを使えば、単調なヴォイシング練習も楽しくできると思います。
Ⅱ-Ⅴ-Ⅰのようなシンプルな進行であれば予め収録されていたりするので
自分で作る必要もないです。
![](https://jazzy-life.com/wp-content/uploads/2020/08/2-5-1_iRealPro.jpg)
![](https://jazzy-life.com/wp-content/uploads/2020/08/2-5-1_iRealPro.jpg)
そもそも、何百という数のジャズスタンダードの
コード進行が収録されているので、それだけでもかなり便利です。
![](https://jazzy-life.com/wp-content/uploads/2024/03/bop-smile-300x300.png)
![](https://jazzy-life.com/wp-content/uploads/2024/03/bop-smile-300x300.png)
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もちろん、移調もカンタンにできます!
テンポやリズムパターンも自由に設定できるので
至れり尽くせりです。
アプリとしては少しお高めですが
ジャズを今後続けていくのであれば
購入しても損しません。
練習のまとめ
Aフォーム、Bフォームはちゃんと練習すれば誰でも身に付けることができます。
私の場合、中島久恵氏のモダンジャズピアノレッスン1を使用して、毎日練習しました。
![](https://jazzy-life.com/wp-content/uploads/2024/03/bop-smile-300x300.png)
![](https://jazzy-life.com/wp-content/uploads/2024/03/bop-smile-300x300.png)
![](https://jazzy-life.com/wp-content/uploads/2024/03/bop-smile-300x300.png)
最初はしんどいですが、だんだん慣れてきます。
これができるようになると
セッションの参加もしやすくなります。
初見でもなんとかコードは押さえられるようになる
すなわち伴奏(ヴォイシング・コンピング)できるからです
また、スタ本に載ってる大体のコードが弾けるようになります。
複雑なものについては、その時に新たに覚えれば大丈夫です。
今回、ここでは紹介しきれていないパターンも結構あるので
ぜひ参考にしてほしい本です。
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