ジャズピアノではペダルを踏まないって本当?
ペダルってどう使えばいいんだろう?
そんな疑問にお答えします。
結論からいうと、基本的にはペダルを踏みません。
特に、クラシック上がりの初心者の場合、やたらペダルを踏みがち。「ペダルは踏まない」と思って練習した方が良いです。
ただし、もちろんケースバイケースです(リズムにもよるし、一瞬踏むことはあります)。
この記事では、ジャズピアノにおけるペダルの正しい使い方や、ダンパーペダルとソフトペダルについても解説します。
何も考えずペダルを踏んでいると一生ジャズが上手くならないので、ぜひ最後までお読みください。
補足
ペダルと言えば、一般的に右側にあるダンパーペダルのことを指します。
※以下、断りのない場合、ダンパーペダルを”ペダル”と表記します。
ジャズピアノでペダルは基本的に踏まないと考えてよい
ジャズピアノでは基本的にペダルを踏まないで演奏すると考えて間違いありません。
実際はケースバイケースですが、ジャズピアノ初心者はそのように考えた方が安全。
それくらい、ムダにペダルを踏んでいる人が多いです…。
残念ながら、そのままだと永遠にダサい演奏をすることになってしまうので十分気をつけてください。
ブルースやスイング、アップテンポの曲では、ペダルを踏まないことが多い
スイング以上の速さ(♩=100~120より上、目安です)の場合、踏まないことが多いです。
あとブルースなんかもペダルは踏みませんね。
音源をよく聞いてみてください。
スイングでもブルースでも何でも良いのですが、果たしてジャズピアニストはペダルを踏んでいるしょうか?
恐らく、ほとんどの場合踏んでないことがわかると思います。
ペダルを踏むと残響音が残り、音の輪郭がぼやけてしまいます。
正直ノリが出にくくなるし、グルーヴ感も無くなります。
じゃあ、絶対にペダルを踏んではいけないのかと聞かれると、そうとも言い切れないところが難しいところ。
たとえば、Red Garland(レッド・ガーランド)のようにオクターブ奏法で早く弾く場合、瞬間的にペダルを踏むことはあります。
Red Garlandが踏んでいたかはともかく…。わたしを含め、日本人は手が小さい人が多いので、つぎのようなケースではペダルを使うことがあります。
- 手の移動が多い(跳躍など)
- スケールのように指の移動だけで滑らかに弾くことが困難
このような場合、どうしても補助的にペダルを使用することはあります(一瞬で、しかも最後まで踏み切らない)。
客観的にペダルを踏み過ぎていないかを知る方法は、自分の演奏を録音することです。
自分が今まさにピアノを弾いている時に感じる音の余韻と、録音を聞き比べてみてください。
同じように聞こえないことが多いはずです(弾いている時はペダルを踏んだ方が良く聞こえることもあるかもしれませんが、それが”まやかし”であることに気づくはず)。
特にクラシック経験者は要注意。
クラシックではペダルを使う機会がよくあるので、反射的にペダルを踏んでしまう人が非常に多いです。
録音したものを聞いてどうも違和感がある場合は、「修正し、録音する、確認する」ということを繰り返しましょう。
バラードではペダルを使っても問題ないことも、ただし使いすぎは注意
バラードではテンポが遅く、音価が長いこともありペダルを踏んでも問題ないことが多いです。
音色に対する効果も大きいです。
響きに奥行きを持たせたり、メロウな印象を与えることができるので、バラードとペダルの相性は良いです。
といっても、やはり踏み過ぎなのは良くありませんが…。
自分の指だけでレガートに弾けるようにする練習も必要です。
また、ソフトペダルも踏むことがあります(一番左にあるペダルです)。
クラシック経験者でもあまり使用したことが無い人が多いのではないでしょうか?
中には、ソフトペダルを踏むのは邪道と考えている人もいるようです。しかし、それは間違っています。
「弱い音を弾くのは指だけでコントロールしないとダメだ!」みたいな考えは捨てましょう。
無理に指だけでコントロールする必要はなく、そもそもソフトペダルを使うと音色が変わります(丸みを帯びる)。
どんな効果があるか試して、ここぞという時に使ってみましょう。
ソフトペダルの仕組みについて
ソフトペダルの仕組みについて、カンタンに解説します。
そもそもソフトペダルを踏むと音が弱くなるのはどうして?
まず、グランドピアノの場合、1つの音を3本の弦で鳴らしています(低音領域が3本)。
そこで、ソフトペダルを踏むと鍵盤ごとハンマーアクションが右に移動します。
するとハンマーが当たる弦の数が1本減るので、音量も小さくなります。
減の数が3本のところは2本、2本のところは2本というように、ハンマーが叩く弦の数が減るようになっています。
アップライトピアノの場合、ハンマーの位置を弦に近付ける事で、ハンマーの弦への当たりを弱めています。
そのため、アップライトピアノのソフトペダルを踏んでも鍵盤そのものは動きません。
さて、ソフトペダルの仕組みがわかったところで、ジャズピアノではどうやって使用しているのでしょうか?
個人的には、Benny Green(ベニー・グリーン)の演奏がわかりやすいと思っています(おすすめピアニストです)。
特に初めのイントロやテーマの部分で、多く使用していると思います。
丸みがあり、柔らかい音色ですよね?
ソロに入ると(1:49~)、印象が変わり、少し尖ったような音色に変わっています。
ふだん聞きなれているピアノの音色ですね。
このように、ソフトペダルの踏み分けることでガラリと印象を変えることができます。
ソフトペダルの使用は演出効果もかなり大きいので、覚えておきたいですね。
そして、耳コピする時は、こういう違いにも注意を傾けて聴きましょう!
しかし、どうしても音源のみではどうやってこの音色を出しているかわからないことがあります。
そういう意味で、ライブにぜひ足を運んでみてほしいのです。
ライブに行ってほしいのは、“目で見て”学ぶことも多いからです。
実際、私もBenny Greenのライブを聞きに行って、「ペダルにもこんな使い分けがあるんだ!」って学びました。
ベニーグリーンは、バラードでソフトペダルを結構使う印象があります。
メモ
ベニーグリーンは初心者にとってもとっつきやすく、エネルギッシュで楽しい演奏を聞けます。
よくオスカーピーターソン系統のピアニストと称されます。
ボイシング・フレーズ共に論理的(あまり変なことをしない)で、勉強になるので色々聞いてみましょう!
ジャズではペダルは基本的に使わない、ソフトペダルは使ってみて!
この記事では、ジャズピアノにおけるペダルの正しい使い方やソフトペダルの仕組みについて解説しました。
ジャズではペダルは基本的には踏まない。
しかし、状況・目的に応じて使い分ければOK!
ジャズはペダルは踏まないで演奏することが多いです。
しかし、頭でっかちに「ペダルを踏むのが悪い」という考えも違います。
ほんの一瞬踏むことで、より良く聞こえるのならペダルを踏むことも正しいでしょう。
自分の耳を最大限に働かせて、どうするのが良いか考えるようにしましょう。
また、ソフトペダルの使用もかなり効果が高いので、ぜひ一度使ってみてください。
最後は自分がどういう音を出したいかに尽きます。
いろんな音源を聞いて、自分の音色を追い求めましょう!
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