ジャズをやっていると、耳にする”トラ”。
どういう言葉か知らない人も多いはず。
ということでカンタンに解説します!
そもそもトラって何?
”トラ”とはエキストラの略で、音楽業界では、本来出演するはずだった人の代理で演奏する人のことを指します。
いわゆる、ピンチヒッターですね。
依頼する人が体調不良だったりダブルブッキングをしてしまったり理由はさまざまですが、プロアマ問わずトラをお願いされることがあります。
依頼する側が自分より明らかに実力が上の人の場合、嬉しい気持ちもある一方、「自分なんかが代理で演奏して良いのだろうか・・・?」と、不安な気持ちがよぎることもあると思います。
そんなあなたに伝えたいことは、ただ一つ。
不安かもしれないけど、快く引き受けましょう!
失敗してもいいわけではないけど、トラを頼まれたら積極的に引き受けよう!
実力不足で迷惑かけないか凄く怖いです…客に怒られたらどうしよう…
その気持ちはめちゃくちゃわかります!(自分もそうでした)
トラをお願いする時点で、少なくともその方は
あなたの実力を買っているはずです。
場合によっては、今後の成長を見込み
経験を積ませるために頼む場合もあるでしょう。
また、あなたの人間性も評価しているはずです。
実力はあるけど、めちゃくちゃ態度が悪い人は
音楽とか関係なく人に紹介できませんよね?
なので、自信を持って引き受けましょう!
プロも緊張するのは同じらしいです。
Ray Bryant(レイ・ブライアント)がOscar Peterson(オスカー・ピーターソン)のトラを頼まれたときは、もう相当に緊張したそうな・・・(次元が違う話?!)
ちなみに、これがオスピーのトラを務めた時のライブ(めっちゃ良いです)。
でもやっぱり不安…というあなたへ
それでは逆に、いつになったらトラを引き受けるのでしょうか?
「もっと上手くなってから引き受けよう」という考えは、「もっと練習して上手くなってからセッションに行こう!」
と考えて、なかなか前に踏み出せなかったあの頃と被りませんか?
(すみません、過去の自分のことです・・・)
次の仕事にも繋がるかも
トラであれ、サポートメンバーであれ
お店への出演は次の仕事を得るチャンスでもあります。
お店側も出演ミュージシャンをHPで募集していることもありますが
やはり一度お店で演奏した人からのアプローチだと印象違いますよね?
一度会っていたら、その”人となり”もわかるのでお店の人は安心です。
(演奏は良かったし、この人ならバンド出演OKにしようかな・・・というように)
ライブハウスって、横のつながりがあります。
たまたま他の出演者から声がかかって演奏することになり
それがきっかけで、そのお店で定期的に演奏するようになるというのは
結構あるんです。
もし、大失敗したら・・・
やってみたいけど、もしとんでもないミスをしてしまったらどうしよう…
自分では反省点が多くても、お客さんは案外楽しんでいるかもしれませんよ。
ただ、本当にミスってしまったら共演者には終演後にでも謝りましょう。
ジャズスタンダードはある程度できなくてはいけませんが、エグいオリジナルを急にやれと言われてできなくても、それは相手にも問題があるので気にしなくて良いと思います。
上手くできなかった場合は、共演者にそれとなく自分の演奏がどうだったか聞いてみましょう!
指摘があったら素直に受け止め、指摘が無くても自分で上手くいかなかったと思うところは忘れないようにその日のうちにメモしておきましょう。
この悔しい経験を、どうやって次に活かすか考えた方が生産的です。
そもそもトラであろうがなかろうが
納得いく演奏ができないことは多々あると思います。
それでも、いつまでも凹まず
気持ちを切り替えて、練習に取り組みましょう!
最後に
トラをせっかく頼まれたなら、よほど気が進まない・忙しくない限りは引き受けたほうが良いと思います。
そもそも、トラを探す方も大変だったりします。
本当に必要でない限り頼むことなどありません。
これも一種の人助けだと思って快く引き受けましょう。
情けは人の為ならず(いつか自分に良い形で返ってくる)。
きっと、その経験は今後の自分の音楽の糧になりますよ。
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