皆さん、Brilliant Jerksという言葉をご存知でしょうか?
「ブリリアント、ジャークス!!!」
必殺技のようにも聞こえるこの言葉、IT業界なんかでよく用いられるようです。
意味は、「優秀なクソ野郎」(下品な言葉ですみません)。
今回は、”Brilliant Jerks”について考えてみたいと思います。
Brilliant Jerksの意味をもう少し深堀り
それでは、Brilliant Jerksのそれぞれの単語の意味を見てみましょう。
brilliant・・・光り輝く、(技巧的に)すばらしい、(知性または才能の点で)目ざましい
英和辞典・和英辞典 – Weblio辞書
brilliantは高校英語で習うレベルなので、意味を知ってる人は多いかもしれません。
Brilliant Jerksの”Brilliant”は、「(才能面で)”素晴らしい”」という意味で使われています。
一方、jerkはあまり耳慣れない単語だと思います(私が知らなかっただけかもしれませんが(^_^;))。
jerk・・・急にぐいと引くこと、ぐいと押すこと、(筋肉や関節の)反射運動、
英和辞典・和英辞典 – Weblio辞書
《俗語》 まぬけ,とんま,世間知らず.
Brilliant Jerksの”Jerks”は、「世間知らず、バカ」などの意味で使われています。
これらの意味を合わせて、優秀なクソ野郎といった意味合いになるようです。
この「Brilliant Jerks」の説明がなされる時、つぎ記事がしばしば引用されています。
冒頭には、次のように書かれています。
Many of us have worked with them: the engineering jerk who is brilliant at what they do, but treats others like trash. Some companies have a policy not to hire them (eg, Netflix’s “No Brilliant Jerks“, which was one of the many reasons I joined the company)
https://www.brendangregg.com/blog/2017-11-13/brilliant-jerks.html
和訳すると、こんな感じでしょうか?↓
私たちの多くが、彼ら(やることは凄いけど、他人をゴミ扱いする最低なエンジニア)と働いている。
https://www.brendangregg.com/blog/2017-11-13/brilliant-jerks.html
いくつかの企業は彼らを雇わないことをポリシーに掲げている(例えばNetflixの”No Brilliant Jerks”は、私がNetflixに入社した理由の一つでした)。
冒頭から過激な文章ですね…
もしかしたら、あなたの周りにも思い浮かぶ人が1人や2人いるかもしれません。
それはリアルかもしれませんし、SNS上の付き合いかもしれませんが…。
音楽業界にも、Brilliant Jerksは存在する?
もともとIT業界で使われることが多いこの言葉ですが、音楽業界にも一定数いるように思います。
というより、どの業界にもいると思いますが…
私は専らジャズを演奏するのですが、ジャズに関わる人間の中にも、このようなタイプの人間は一定数存在すると感じています(というか、いる)。
大きい括りだと、現場の第一線で活躍しているプロ。
小さな括りだと、大学のジャズ研のようなサークル(集団)など。
プロの場合
プロは、ジャズに人生をかけています。
そのため、”なんちゃってジャズ”や”いい加減な演奏”に対して憤る気持ちはよくわかります。
また、世の中の音楽に対して不満を持っていることも多い印象を受けます。
「なんであんな低俗な音楽が売れているんだ!」
「自分たちの方が素晴らしい音楽を提供しているのに不公平だ!」
ジャズは、相当な訓練を要し、ある程度の演奏ができるようになるまで膨大な時間がかかることが多いです。
そんな苦労をしているからこそ、売れ線のコード進行で作られた曲がバカ売れしていたら嫌になる気持ちも少しわかります。
実際のところ、曲を作るのは本当に大変なので、よくあるコード進行の曲だとしてもバカにできないんですけどね。
アーティスト以外にもSEなど多くの人が製作に関わっていますし…(というより、どのジャンルもそれぞれの難しさがあるので同じく苦労はしているんですけどね…)
だからと言って、他のジャンルをけなしたり、演奏スキルが乏しい人を馬鹿にするのはやはり良くないと思います。
音楽以前に、社会人としてどうなのかなと首をかしげてしまいます。
ミュージシャンの前に、社会人ですからね。
演奏でお金という対価を貰っている以上、ビジネスマンとも言えますが…。そのことを忘れている人が多いような気がします。
例えば、ある食品メーカーがあったとします。
そんな時、競合の商品を「あそこの商品は、クソまずい!!」なんてネガキャンはしませんよね?
暗黙の了解かと言いますか、相手を下げて自分をあげるような行為はしないんですよね。
というより、そんなことをしたら逆にその企業が炎上しますよね(笑)
「他社の製品をけなすとか、オタクのコンプライアンスどうなってるんですか~(#^ω^)」といった具合に。
やはり不可侵の領域はあるんです。
それは企業のような大きい単位ではなく、個人単位であってもやはり超えてはいけない境界線はあります。
ジャズ研(集団)の場合
ジャズ研のようなサークル単位でもやはり、Brilliant Jerksのような人が現われることがあります。
集団では、往々にして”上手い人”と”下手な人”に分かれてしまい、ヒエラルキーが生じます。
たとえば、ジャズ研の先輩にこんな人がいるかもしれません。
- 演奏は上手い。
- 色んな音楽を知っている
- けど、人当たりが厳しい、容赦ない
- そのくせ、上手いOBには頭が上がらない
こんな人がいると、とても怖いですよね…
セッションをやるにしても、常に”品定め”されているような気分になるでしょう。
このようなタイプの人は、”自分より下と思った相手”に対しては強く迫り、”自分より上と認識した相手”に対しては途端に小さくなります。
まさに”Brilliant Jerks”に近しい存在。
Brilliant Jerksは、自分より優秀な人に対しては縮こまる傾向があります。
Brilliant Jerksの問題点
Brilliant Jerksの問題点は次の通りです。
- 周りの人を委縮させてしまう
- 本当に正しいことを言っているか、わからない
- 周りの雰囲気が悪くなる
Brilliant Jerksはやることは凄くても、周りの人を委縮する可能性があります。
それ相応の実力があるゆえに、周りの人も彼ら・彼女らに意見することができません(これが厄介です)。
そうすると、傲慢な態度はさらにエスカレートし、周りの人間を疲弊させていきます。
基本的には素晴らしい演奏をしますし、その人の発言する内容もまた勉強になることが多いのですが、果たして全てが正しい意見なのかどうかはわかりません。
しかし、もし指摘しようものなら建設的な議論になることは少なく、むしろ「なんでお前ごときが私に意見をするんだ!」と発狂されることすらあるかもしれません。
そうなってしまったら最後、手に負えません。
このような人がいるとどうしても周りの空気は悪くなります(当たり前ですよね)。
実は、先ほど例にあげたタイプの人とは対照的に、「まずは、とにかく良いところを見つけて相手を褒める」人もいました。
私たちは、まだまだ練習中の身。”できていない箇所”・”良くない箇所”など探せば無数にあります。
それは一旦ワキに置いといて、「○○の部分、良かったよ!」と、まず褒めていた先輩は、1人の人間として皆から愛されていました。
もちろん、「こうした方が良い」というアドバイスも聞けば教えてくれたので、こちらとしても話しかけやすかったです。
そこら辺のバランスが大事なのかなと思います。
その人は現在バリバリにプロとして活躍しており、能力はもちろんのこと、人望があるからこそ仕事がもらえて続けられているのではないかなと思います。
まとめ
残念ながら、Brilliant Jerksは音楽業界にもいます。
たった一人の心無い発言で
「ジャズやってる人って感じ悪い」
「偉そう!何様なんだろう」
と思われたら、もったいないですよね。
ただでさえ、ジャズはそういう人がいるように見られがちなので、各々がひとりの人間として立ち振る舞いを考えないといけないと思います。
ひとりでもそういう人がいると、全体がそのように見られてしまいがちだからです。
私も、そうならないように気をつけようと思いました。
まあ、自分の場合、Unbrilliant Jerks(低能なクソ野郎)かもしれませんが(Brilliantになりたい~_(:3 」∠)_)
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